手術の影響については様々な説や意見があり、いわゆる逸話的なものも多く、判断に悩まれる飼い主さんも多いと思います。そこで、現時点で獣医学的に明らかにされている影響についてその一部をまとめました。
(獣医学雑誌 CLINIC NOTE NO.7 より抜粋)
わんちゃん《女の子》 オススメ度 ★★★★ |
ねこちゃん《女の子》 オススメ度 ★★★★ |
予防できる病気 ●卵巣子宮疾患 (子宮蓄膿症・子宮癌・卵巣癌など) ●出産に伴う産科疾患 ●偽妊娠 緩和できる病気 ●一部の皮膚疾患やアレルギー疾患 ●乳腺腫瘍 |
予防できる病気 ●卵巣子宮疾患 ●出産に伴う産科疾患 ●持続性発情 緩和できる病気 ●一部のアレルギー性疾患 ●乳腺腫瘍
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●手術により乳腺腫瘍の発生率を下げることができます
手術の時期 | 乳腺腫瘍の発生率(手術をしない場合との比較) |
最初の発情前 | 0.5 % (1/200) |
初回~2回目の発情前まで | 8 % (1/12) |
2回目~4回目の発情前まで | 26 % (1/4) |
わんちゃん《男の子》 オススメ度 ★★★ |
ねこちゃん《男の子》 オススメ度 ★★★ |
予防できる病気 ●生殖器の疾患 (睾丸の腫瘍 前立腺肥大など) ●肛門周囲腺腫
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予防できる病気 ●睾丸の腫瘍 ●前立腺肥大 ●肛門周囲腺腫 緩和できる病気 ●ネコ同士のケンカによる外傷の減少 ●他のネコとのケンカや接触によるネコエイズやネコ猫白血病の感染リスクの減少 |
肥満
手術後は、同じ量の食事を与え続けると体重が増えることが多くみられます。
これは、ホルモンの変化により、ストレスから解放され、発情行動に伴う縄張り巡回や興奮が減少するなど行動が大きく変化し、必要なカロリーが15~20%減少するためです。殆どの場合は手術後の食事の内容や量を正しく管理することで、コントロールが可能です
体の成長への影響
かつては性成熟前(生後6~8ヶ月以前)の不妊去勢手術は成長を妨げると信じられていた時期もありますが、今日では悪影響を与えない事がわかっています
泌尿器の病気との関連
雌犬の尿失禁や、雄猫の尿路閉塞(尿結石で尿道が閉塞し、尿が出せなくなってしまう病気)に関して、不妊手術や去勢手術が原因になっているという説は、現在否定されています
皮膚病との関連
性ホルモン反応性の皮膚疾患と不妊去勢手術の関係は証明されていません。ただ、まれに手術後に毛がなかなか生えてこない、又は、以前は薄かった毛がフサフサになったなどの報告があることも事実です。これらの皮膚病は複数の原因が考えられていますが、本当の原因は明らかにされていません
わんちゃん《女の子》 オススメ度 ★★ |
ねこちゃん《女の子》 オススメ度 ★★ |
発情サイクルが不安による問題行動(尿マーキングや放浪)に影響している場合があるため、最初の発情前の不妊手術により防ぐことが期待できます。 ただし、若い時期から、甘咬みやじゃれ咬みではなく、明らかな攻撃性を示す場合は、1歳未満で不妊手術をすると攻撃行動が悪化するという報告もあり、手術の時期を検討する必要があります |
発情期の放浪や尿スプレー、特有の鳴き声などを防ぐことが期待できます 7ヶ月齢で不妊、去勢手術をうけた猫では、雌雄ともに手術を受けていない猫よりも友好的で猫同士の攻撃行動は少ないと報告されています
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わんちゃん《男の子》 オススメ度 ★★★★ |
ねこちゃん《男の子》 オススメ度 ★★★★ |
性ホルモンの影響を受ける行動「放浪、尿マーキング、マウンティング、雄犬同士の攻撃行動」については、去勢手術により減少させられることが期待できます。 しかし、この様な行動がすでに習慣化している場合は、大脳で学習されてしまっているため消失させることは難しい場合もありますが、軽減させることは充分期待できますので、実施する価値はあると考えられます |
攻撃行動、尿スプレー、放浪が去勢手術により明らかに減少します
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